2019年現在、無線LANルータがすっかり普及して、家でも会社でも、アクセスポイントが乱立している状況になり、電波が壁とか床によってあまり遮られない2.4GHz帯を使用する802.11b、802.11g、802.11n(2.4GHz)だけでなく、ある程度厚い壁や床であれば電波が遮られる5GHz帯を使う802.11a、802.11ac、802.11n(5GHz)も電波干渉により、遅かったり・途切れる状況になっています。
以下の画像は、Wifi Analyzerというアプリで調べた自宅での2.4GHz帯と5GHz帯の電波状況です。無数のアクセスポイントが乱立しています(ちなみに都内にある会社はもっとひどいです)。これでは、2.4GHz帯が電波干渉によって満足に使えないのはもちろん、5GHz帯でも速度が出なかったり・切れたりするのも納得です。
kakaku.comの掲示板などで、Wi-Fiが繋がらないとか・切れるとかいう書き込みを良く見ますが、多くは機種の問題ではなく、電波干渉が原因のような気がします。機器を買い換える前に、まずは使用場所での電波状況を確認するべきでしょう。
良く「ハイパワー」とか謳っている、Wi-Fiルーターのメーカーの宣伝文句も「悪いなぁ」と思うんですが、Wi-Fiルーターの出力の上限というのは、法律で決まっていて、全部一緒だそうです。変わるとしたらアンテナの指方向性ぐらいみたいです。もちろん、Wi-FiルーターのCPUとかメモリとかファームウェアは違っていて、繋がった後の処理速度は、製品によって違ってくるのでしょう。それによって、同時接続可能な端末の数とか通信速度は変わるんでしょうが、それは繋がった後の話です。そもそも、繋がらなかったらどうしようもありません。
ということで、11月29日にメッシュWi-FiのGoogle Nest Wifiとかが発売されたばかりですが、安易に飛びつくのはやめましょう(笑)。もちろん、Wi-Fiが遅い・繋がらない原因が、純粋に電波が届いていないということであれば、メッシュWi-Fiは有効なはずです。でも、今の日本でのWi-Fiアクセスポイントの乱立状況からすると、家庭でも会社でも、メッシュWi-Fiが有効でない状況も多いと思います。
ということで、一番の解決策は、やはり「有線にする」です。「家庭でそれができたら苦労はしない」という声が聞こえてきそうですが、2019年の今、廃れてしまうのかと思われていた、電力線モデム(PLCモデム)の新製品がまた発売されるようになってきています。我が家では、今はもう生産終了になってしまったパナソニックのBL-PA310KTというPLCモデムをもう7~8年ぐらい使ってますが、速度はそれほど出ないものの、非常に安定して使えています。Wi-Fiよりも快適です。電力線モデムはおすすめです。
さて、有線にできるものはできるだけ有線にするとしても、有線にできないスマホとかタブレットがありますので、何か改善策は打ちたいところです。
まず、2.4GHz帯は、何をやっても無駄みたいなところもありますが、以下のようなところでしょうか。
- 5GHz帯対応の機器に買い換える(そもそも論)。
- チャンネルボンディングを止める(BAFFALOのルーター設定画面だと「倍速モード」。複数チャンネルは束ねたほうが速度は出るんしょうけど、複数チャンネルを束ねたらそれだけ干渉しやすくなるはず)。
- 近所のアクセスポイントとできるだけかぶらないチャンネルをルーター側で指定する。
- 外部アンテナがあるWi-Fiルーターであれば、アンテナの向きを調整する(電波は、アンテナを立てた状態であれば水平方向に、倒した状態であれば垂直方向によく飛ぶ)。
- ルータの設置位置を変える。あるいは増やして(メッシュWi-Fiとか)、ルーターと接続端末の距離を近づける。
- 壁際じゃなくて、できるだけ家の中心に近いところに置く。
5GHz帯の対策も、2.4GHz帯の対策と基本的には同じだと思います。5GHz帯の場合は、W52、W53、W56という3つのチャンネル帯があって、場所によるとは思いますが、W53、W56はまだ比較的空いている場合もあると思います。ですので、ルーター側の設定でW53、W56のチャンネルを使うように指定します。
ただ、W53、W56が比較的空いているのには理由があります。DFS規制というのがあって、W53、W56は気象レーダー・航空レーダー・アマチュア無線等とかぶる帯域で、Wi-Fiルーターはレーダーを受信すると、他のチャンネルに変えなければならない決まりになっているんだそうです。そうなると、必然的に、せっかく、W53とかW56のチャンネルを指定しても、混んでいるW52に勝手に戻ってしまうという事態になります(苦笑)。これは、実際に経験しました。
ということで、地域毎、場所毎にどんな周波数のレーダー波を浴びやすいのかを調べて、あまりレーダー派を浴びないチャンネルを指定する必要があります。
で、実際に地域ごとにW53、W56の帯域のどの周波数にどのようなレーダーがあるかですか、ある程度まとまった情報として見つけられたのは以下の記事ぐらいでした。
開発過程を楽しめる無線LANルーター Ignition Design Labs「portal」
この記事によると、例えば、東京での気象レーダーは5362.5MHzで、干渉する可能性のあるチャンネルはないそうです。そうなると、あくまで東京ではということになりますが、警戒すべきは、気象レーダーよりも、船舶・航空レーダー(5.35MHz~)や、アマチュア無線(5.65~5.85Hz)ということになりそうです(アマチュア無線に対してもDFSって働くんでしょうか?)。まあ、結局のところ、地域ごとに大丈夫そうなチェンネルをまずは設定してみて、DFSによって勝手にチャンネルを変えられていないか確認して、大丈夫だったら、そのチャンネルでOK。だめだったら、また他のチャンネルを試すということを繰り返すしかないのかもしれません。
もっとも業務用のルーターには、レーダー波を常に監視して干渉のないチャンネルを自動で選んでくれるという機能を備えた機種もあるので、予算が許すのであれば、そうした機種を選択しても良いかもしれません。DFSでは、厄介なことに、W53、W56のチャンネルを変える時に1分間待機して、レーダー波と干渉しないことを確認しなければならない、つまり、1分間通信ができなくなるという問題があるんですが、こうした機種では、常時レーダー波を監視していて干渉しない周波数を把握しているので、この1分間の通信切断も回避できるそうです。
ちなみに、こうした機能を備えた機種としては、実売3万円前後のバッファローのWAPM-1266Rと、実売6万前後のヤマハのWLX313があります。
まあ会社だったら、WLX313を導入するところでしょうが、家庭ではWAPM-1266Rでもちょっとオーバースペックですよね。
とういうことで、私は家庭ではこの記事で書いたようなお金のかからない対策をまずして、後はせめて外部アンテナがある家庭用のWi-Fiルーターを購入しようかなと思っています。今使っているのは、内蔵アンテナの機種なので。
ちなみに、今のところ、12/4に新たに発売されるHUAWEIのWiFi WS5200が一番ポチりそうです。Ignition Design Labsのportalも気になるところなんですが、ちょっと微妙なところもあるみたいなんで。HUAWEIのスマホとかタブレットのコスパが素晴らしいのは良く知られているところですが、このWS5200も実売3,500円前後なのに、800MHzデュアルコアCPU、128MBメモリ、4本の外部アンテナという高コスパなんですよね。更に、外観がすごくかっこいい。